ブラックひとり社長の仕事術 五つの掟 スマートを否定し泥臭く這いずりまわれ

サラリーマンをやめて、起業して食べていく。

そのためには、生産性を高めよう。生産性が低い電話やFAXを使うのはやめよう。ペーパーレスにしよう。利益が低い仕事はあえて切っていこう。時間とお金がムダだから、現場に行かずとも仕事ができる仕組みを構築しよう。ひとりなんだから、スマートに仕事しよう。

いろいろな起業の本、起業して成功している人のブログやツイッターを読むと、そんなことが書いてある。

でも、フツーの平凡な人が、これをマネすると危険。フツーの平凡な人は、スマートではないんだから!

フツーのオジさんは泥の中を這いずりまわって生き残れ

フツーの平凡なおっさんであるぼくは、電話を積極的に使い、当然FAXにも対応し、紙の資料を配付し、利益の低い仕事をていねいにすくいあげながら、事業を継続させ、少しずつ利益を積み上げている。

夜中の電話も、長時間労働も、なんでもあり。世の中的には「ブラック企業」というのか。

でも、ひとり社長なので、だれにもブラックを強要してはいない。いわば「ひとりブラック企業」。

あらゆる手段で利益を上げなくては、生き残れない。高い生産性とスマートさばかりを尊ぶ世の風潮はいかがなものか。世の中、そんなにスマートさばかりで成り立っているわけじゃない。

そんな思いを込め、アンチテーゼとして「ひとりブラック企業の仕事術」をまとめてみよう。

ひとりブラック企業の掟その一 電話は24時間臨戦態勢で対応しろ

はあちゅう氏の電話に対する考えについて。

「電話はかけてこないで」はあちゅうが考える新マナー | 日経ウーマンオンライン

以下、一部引用。

 家族と恋人とクロネコヤマトさん以外からの予告のない電話は不快です。最近はどこかから勝手に番号を手に入れていきなり電話してくる人もいますが、私にとって、突然の電話は、突然家に来られるのと同じくらいぶしつけに感じます。

でも、少し前まで電話で仕事の依頼をすることは当たり前でしたし、これだけメールが当たり前になった今でさえ、「まず電話」することが相手への礼儀だと考えている世代も多いですよね。私の肌感覚ではテレビと不動産業界の人は電話率が高いように思えるので、業界的な慣例もあるでしょう。

はあちゅう氏に限らず、有名人、タレントなら、「仕事を受ける手段としての電話」の優先度を低くする意味はある。知名度が高くなればノイズも飛躍的に増えるだろうから、スクリーニングも必要だ。

しかし、ちょっとおどろいたのが、サラリーマンやめて起業したいと考えてる友人までが、「(事業において)電話なんて時代遅れだよね」と言い出したこと。

個人と個人のコミュニケーションの手段としては、電話は暴力的だというのはわかる。

しかし、キミやボクの業界では、電話は依然としてお客さんとのコミュニケーションの生命線だよ。それ無くすと糧道が断たれるよ、と。

ぼくはもう、常に電話を身近に置き、いつでも取れるようにしている。電池切れが怖いので、わざわざ電池がもつガラケーに機種変したほど。

どこのお客さんの現場(ほとんどは工場や建設現場)で、今日何時にどんな仕事があるかは頭に入っている。電話が鳴り、発信者名を見れば、どんな要件かを予測し、受話ボタンを押すまでのわずかな時間でだいたいの受け答えまでをシミュレーションすることができる。

お客さんからの電話はほとんど、不明なことへの質問、困っていることの相談、クレームだ。これらはすべて、新しい仕事につながる。電話の優先度を下げるなんて、考えられない。

お客さんが夜勤のシフトとなると、夜しか連絡が取れなくなる。先方は遠慮して夜には電話してこないが、こちらから夜に電話することはある。夜勤のシフトは1〜2週間続くので、昼勤にもどるまで待ってると仕事がそれだけ遅れるからだ。

電話は常に臨戦態勢で。仕事を取れるなら夜討ち朝駆けもガンガンやろう。




▲外出が多いので、こういった電話番号転送サービスを利用している。会社にかかってきた電話を、携帯電話に転送するわけ。

さらには、お客さんとの面会中に電話がかかってくると、電話に出られず機会損失になるため、



▲こういった電話代行サービスもそろそろ検討しようかな、と考えている。

ひとりブラック企業の掟その二 ローテクの象徴「ファクス」は金のなる木だ

ファクスは今の時代、電話以上にローテクなものとして、忌み嫌われる。

ファクス使っていると時代遅れというか、カッコ悪いというか。生産性を高め、スマートに仕事したい人たちからは、目の敵にされている。海外ではもう過去の遺物だというし。

とはいえ、ファクスは業界によってはいまだに重要な仕事道具。海外がなんといおうが、スマートな人たちに笑われようが、お客さんが求めるなら堂々とつかおう。

ぼくの場合、仕事が完了した伝票や報告がファクスで来ることが多い。それはそのまま請求書の数字となり、その数字を元に、来月末には口座にキャッシュが振り込まれる。

もう、ファクスがお金みたいなもの。着信するたびに(実際にはネットファクスなので書面がPDF化されてメールがくる)、

「ありがたい」

と伏し拝んでいる。

こちらが入金する側の請求書もファクスでくるけども。もうバンバンくる。入金あるところに出金あり。光と影。お金を回す輪の中に加われていることが、幸せ。

しかし、ひとり社長が機械としてのファクスをオフィスに置くのさすがに非効率で。




▲そこで、ネットファクス。

この「メッセージプラス」というネットファクスだと、届いたファクスをスマホで確認して手書きで書いて転送、というのができるらしく、とても魅力的。使い勝手がいいなら現在のネットファクスから乗りかえも考えており、実際どうなのかを調べているところ。

ブラックひとり企業の掟その三 ペーパーレスなど夢だと思え 紙の資料をバンバンくばれ

紙の文書を管理するのは手間がかかる。ペーパーレスが実現すればどれほどイイか。

しかし、お客さんは「紙でくれ」という。

「明日の会議、出席者は18人だから資料を人数分用意して下さい」

と。

あらかじめ資料をPDFで送ってあり、会議参加者はみなノートPCを持参し、さらにはプロジェクタで資料を投影するのに、だ。

しかし、紙がいる。これにはわけがある。

参加者は工場などの現場担当者であることが多く、持ち場に帰れば紙資料が最も目に届くのだ。

現場で打ち合わせ中の担当者が、もう2ヶ月も前に提出した資料をポケットから取り出した、ということがあった。

A4の一枚の紙。その資料は何度も折りたたまれたようで、すり切れ、破れ、殴り書きのメモがびっしりと書き入れられていた。

そこから新たな仕事が生まれた。どれだけIT化が進んでも、工務課の担当者が現場を歩くときに持ち歩くのはタブレットでもスマホでもなく、紙とペンなのだ。

18部の資料のうち、17部まではリサイクルボックスに直行だとしても、1部は仕事につながるかもしれない。

だからよろこんで紙の資料を用意するし、大事な資料はコストアップになろうと、少しでもキレイに印刷できるコンビニのネットプリントを使うこともある。

ひとりブラック企業の掟その四 カネと時間をかけて現場に足を運べ

生産性を高め、スマートに仕事をする。そのためにはわざわざ出かけて人と会う、ということを否定する風潮がある。

現場に行かないなんて、なんてもったいない。ぼくは、できるだけ現場に足を運ぶ。

現場でなにをするかというと、手配したスクラップや産業廃棄物などの回収に、立ち会うのだ。ぼく自身は、許可も車両も持っておらず、直接作業をすることもないんだけど、それでも現場に行く。

得られる粗利が数千円の小さな取り引きだとしても、数千円の交通費と半日程度の時間をかけて出かけることもある。

完全な赤字。これは投資。

商売は、その小さな取り引きだけで終了ではない。

お客さんと顔を合わすことで次の仕事をいただく可能性が高まる。

現場を見れば、提案できることが山のようにある。これほど大きなりターンが見込める投資は、あまりないので、現場にはコストをかけて、足を運ぶ。

ひとりブラック企業の掟その五、数千円の小さなビジネスもていねいにやる

利益が少ない仕事はあえて捨てて、効率化を図ろう。ーーこれも、起業関連の本やブログにはよく書いてあることだ。

しかし、たとえ粗利が月間数千円程度だとしても、捨てるなんてとんでもない。

とくに、企業間取引であれば、低い利益でも取り引きを継続することには大きな意味がある。

B to Bの取り引きには、実績と継続がものをいう。

ある程度の規模の案件が発生すると、たいていは競合があらわれるが、たとえ少額でも実績があれば、優位に立てる。これは、こちらが仕事を発注する側に立てば、よくわかることだ。

小さなことでも手を抜かず、しっかりやってくれる業者には、仕事を発注したくなるものだ。

大きな仕事はある日突然、発生するのではない。小さな仕事を少しずつ、育てて大きくしていくのだ。

有名人ではないフツーのオジさんが起業して生き残るには泥臭く這いずりまわれ

電話やファクスを駆使し、現場に足を運び、紙の資料を配付し、利益の小さな仕事もていねいにやる。

まったくスマートではなく、生産性も低く、それゆえに長時間労働もいとわないスタイルだが、事業は趣味のようなもので、ゲームでもあり、楽しんでやっている。

注意する点は、お客さんとの接点はローテクで泥臭くていいのだが、自社内で完結する作業フローは生産性を高める努力を惜しまないこと。




▲会計をクラウドサービスにして手間省くとか。そんなに特別なことではない。

自社内の作業までローテク上等だと、さすがに寝るヒマなくなるから。