40歳から人生を変えることはできるのか 中年がサラリーマンをやめ好きなことで生きていくための戦略

「好きなことで生きていく」なんて甘い。つらい仕事に耐えてこそ、給料をいただける。

そんなふうに考えていた時期が

俺にもありました

プロゲーマーやプロブロガーなんて昔は夢だった

好きなことで生きていく。それは、決して甘いことではない。

ぼくが大学生のころ、自宅にスーパーファミコンがあって、「タクティクスオウガ」をプレイしながら、

「あー、就職活動だるいなー。ゲームやって食ってけないかなー」

と考えてたんだけど、実際に「プロゲーマー」という職業が、今の世の中には、登場してしまった。

当時、文章を書くことが好きで、ぼちぼちとなにかを書いていた記憶があるが、現代ではブログやらなにやらで、テキスト書いて食っていくことのハードルはずいぶんと下がってしまった。

中年になってしまってからの「好きなことで生きていく」は可能なのか

しかし、プロゲーマーにせよ、ブロガーにせよ、それで食っていくのは簡単ではない。本当にそれを好きな人が、すべてをそれに投入し、その分野でトップに立つことで、やっとカネを稼げるようになる。

ひまつぶしレベルのゲームやテキスト書きが好きな人は山ほどいる。

尖って尖って、そこからつきぬけないといけない。そういう意味では、今10〜20代を生きている若者は、この時代に合わせた戦略を実行する時間があるから、おもしろい時代に生きていていいなあ、と。

いっぽうで、大して好きでもないことをやりつづけて40代になってしまった中年が、これから好きなことで生きていくことは、できるのだろうか。

住宅ローン抱えてたり、家族がいたり、タイムリミットがわずかだったり。中年の男や女が、好きなことで生きていけるのか。

橘玲氏は「40代は手遅れだ」と言った

ぼくの好きな作家の橘玲氏の弁を引用したい。

▲このツイートの引用先の記事で氏が、次のように述べている。

酷なことを言いますが、40代、50代になってから「サラリーマンとしての人生」に疑問をもっても、もはやできることはほとんどありません。会社にしがみつき、無事に定年を迎えて、あとは年金が減らないことを“祈る”のみ。そうならないために、あなたに今からできる「人的資本」の活用法を教えましょう。

ツラい。ツラすぎる。

しかし、40代になってから会社辞めて起業した身としては、この言葉、すごくよく理解できるのだ。

若いと、いくらでも試行錯誤でき、失敗できる時間がある。投資するにしたって、残り時間が長いほど有利なのだ。

40代から人生を変えるためにできるわずかなこと

40代、50代になってからはできることはほとんどない。実際、そうだろう。

しかし、言葉尻をとらえるようだが、「ほとんどない」ということは、「わずかにある」ということでもある。

寿命が80歳、あるいは上記引用記事にもあるように、100歳までも生きるとするなら、今40歳なら残り40〜60年もあるのだ。

であるなら、これからの20年を好きなことにつぎこんで、そのあとの20〜40年でリターンを得る、という戦略はとれないのか。

と考えたとき、二人の男が脳裏に浮かんだ。

40歳で剣をはじめてにぎりパリで演武するほどの剣術家となった男

まず、Aさん。当時50代後半。白髪痩身で、姿勢がよくて性格は豪快だった。

Aさんは若いころは生活が荒れていたそうだが、なにを考えたか40歳になって剣術をはじめた。

剣術に打ちこんだAさんは、ぼくがしりあったころには、ヨーロッパ諸国に招かれて演武しにいくような剣術家になっていた。

サラリーマンなんだけど、そのときは会社が特別に2週間ほど休ませてくれるらしい。

仕事よりも剣術を大事にしてきたからか、正直なところ仕事の知識はそれほどではなかったが、武道家のたたずまいがあって、居るだけで周囲が治まるという空気を持っていた。

得意先から人気があって、部下もよくいうことをきき、営業成績は悪くなかったと記憶している。

その後、Aさんとは縁がないが、とっくに定年で会社を引退してるはず。剣術の指導者となっているんじゃないだろうか。

45歳でサラリーマンやめて自転車屋を志した男

次に友人のB君。業界で誰もが知っている、老舗の大手企業に転職したことをきき、

「アイツもあがりだな」

と思ってたら、

「会社辞めました」

という知らせが来てビックリした。

メシ食いに行って話をきくと、

「もうやりたくない仕事をやり続けるのはイヤだから自転車屋でバイトする」

とのこと。

彼に、

「ロードに乗ろうよ!」

と誘ったのはぼくで、誘ったこちらはまったく乗ってないんだが、彼はハマってしまったようで、会社を辞める引き金となってしまったようだ。

労働環境をきくと、けっこうキツそうなんだが、

「楽しいからぜんぜんキツくない」

とのこと。

いずれ、自分の自転車屋をもちたいそうだ。

趣味レベルではなく全力を投入しなければ人生は変えられない

先のインタビュー記事で、橘さんも述べているように、全力を投入しなければ、プロにはなれない。超高齢社会に老後の不安を解消するには、生涯現役で人的資本を得るという戦略しかない。

平たくいうなら「死ぬまで働く」のだ。

AさんもB君も、家族がいる。40歳を超えて、趣味レベルでなく、人生の大部分を投入するぐらいの勢いで、好きなことに打ちこむのは勇気がいることだ。

しかし、それは決して、無謀な蛮勇ではない。

剣術の指導家として、町の自転車屋として、死ぬまで生計を立てていけるなら、サラリーマン人生にすべてをかけるよりはよほど優れた戦略なのではないか。

Aさんの凜とした後ろすがたや、B君の笑顔を思い出すと、何歳になろうがやりたいことやるのがいちばんいいんじゃないか、と思うのだ。

▲「カネ」とはなんなのか。親も学校も、おどろくほどに誰も、それを教えてくれない。カネとはなんなのか、それを考えるきっかけとなる本。2017年8月に新版が出たので読みたい。

▲遺伝的なもので人生の大部分は決まってますよ、という本。

「頑張れば願いはかなう」みたいなことより、よほどスッキリする。だからといって、なにもしなくていいわけじゃない。

▲「金融資本」「人的資本」「社会資本」の3つの資本をベースとした人生設計を述べる本。

おしまい。