「男性漂流 男たちは何におびえているか」 奥田祥子(著)を読んだ

2017年6月1日更新

現代社会におけるおっさんの悩みを、数年から10年程度の長期取材によって浮き彫りにした本。

結婚、育児、介護、老い、仕事。この五つのテーマを切り口に、さまざまな男たちを、しつこく取材し続ける。

結婚できてもできなくてもつらい

著者が、

「極めて男女のマッチングが困難なこの時代」

というように、これほど結婚しにくい時代は人類史上初めて。あんまり結婚しにくいから「婚活」という言葉も生まれた。

さまざまな男性に取材したうえでの、「結婚」ということへの本書の結論は、

自身と真正面からとことん向き合い、ためらいの心を捨てて、勇気を振り絞って一歩前に踏み出す

みもふたもない。

これを実行したからとて必ず道が開けるわけでもない。辛い目にあって傷つき、ボロボロになって結婚をあきらめることになるかもしれない。

うまくいき、結婚できたとしてもそれはゴールではなく、さらなるつらい道のはじまりかもしれない。

結婚できても、できなくても、悩みは尽きない。

生きるというのはつらいことなんだ、と再認識しながらページをめくった。

なにこのつらさ?

「アンチエイジング」を誤解してない?

今年44歳になる。

近くのものが見えづらく、たぶんこれ老眼だな、と気づいてショックを受けている。若いころにはげしいスポーツをやってたせいか、ひじやひざの痛みがなかなかとれないことも、この先どうなるのか怖い。

この本にも、老いに悩む男たちが登場する。ある男性は、男性更年期障害ということで、病院でテストステロンを注射することで、若さを取り戻す。

というか、この「老い」のコーナーに登場する男たち、みんな病院でテストステロンを打ってるんだけど?

テストステロンってそんな簡単に打ってくれるの? オレも行こうかな!

おっと脱線。

本書に登場する、テストステロンを打った男たちは、いったんは若返りによろこぶものの、結局は失敗して年相応の老いを受け入れる、という流れ。

本書では、治療の範疇を超えたホルモン注射や、増毛による若作りのことを「アンチエイジング」と呼称していますが、アンチエイジングってそういうことじゃないよね。

筋トレや食生活の改善による抗老化が、アンチエイジングのはずなんだけど。

神が男をそうつくった

著者は「なぜ男たちはそこまで性機能にこだわるのか、なぜ若い女性を好むのか、まったく理解できない」と述べる。

これはオジさんにもわかんないな〜。

とにかく、なにかが我々を駆り立てて、若い女の尻を追い回させるんだ。神が男をそういうふうにつくったんだからしかたがない。

だからこそ、地球上にこれだけ人類が増えたわけで。

しかし、男たちが、そういった本能だけに突き動かされ、行動しているわけではない。

理性、というものももちあわせている。本書でも、悩みつつも、自分にふさわしい年相応のパートナーをみつけたり、老いを潔く受け入れた男たちが登場する。

これらは、理性によって自分をみつめた結果ではないか。本能という荒々しいものを、理性で包み込み、人格を磨いていくことこそが、おっさんが老いを受け入れる方法なのだろう。

おしまい