市場の縮小を起業家が怖れることはない 撤退戦でチャンスをつかめ

取引先の若き営業マンA君と雑談した。

「ぼくも独立起業してみたいんですけどね。でも今後、日本は人口減で市場がどんどん小さくなっていくから、怖くてとてもそんなことはできませんよ」

とA君。

いやいや、その考えはあまりに早計だよ。市場が縮小しようが、ゼロスタートの起業家には関係ない。起業すれば、眼前にはいくつものビジネスチャンスが転がっているんだが。

市場の縮小を怖れることはない

超高齢化と少子化、人口減であらゆる市場が縮小していく。それはもう、確定していることだ。しかし、それを怖れるのは、すでにその市場で利益を得て、支配的なポジションにある者たちではないか。

支配者にとっては、すでに得ている利益が減っていくことが確定しているので、そこをどうするかはむずかしい問題なのだ。

今はなにも持たない、ゼロスタートの起業家が、市場の縮小を怖れて頭をかかえる、というのはおかしなことだ。日本においては、あらゆる産業が成熟している。縮小するとはいえ、市場はそれなりの規模を今後も維持していくので、ごく小規模な起業家が参入し、ビジネスをひろげていく余地は、十分にある。

市場が縮小すれば撤退戦がはじまりそこにビジネスが生まれる

市場の縮小で、おもしろくなりそうなのが「撤退戦」だ。市場が小さくなるにつれ、すでにあちこちで撤退戦がはじまっている。ぼくは産業廃棄物に係わる事業をしていて、産廃がどこから発生するかにとても敏感だが、人口減で、すでに色々な分野で製造工場の統廃合が盛んになっている。

お客さんの工場が統廃合して、産業廃棄物が減って、事業が先細りかというと、まったくそんなことはない。撤退するところにも、ビジネスはある。たとえば、工場を閉鎖するならするで、そこにはとても大きな商売が発生する。

いくつかの工場をまとめてしまって新たに工場を建てる、となると、そこに出入りしていた既存の業者は困るが、ぼくにとっては商売をひろげるチャンスでしかない。

縮小や拡大でなく「変化」を見逃すな そこにニーズがある

市場が縮小するときには、均質に縮小するわけではない。常に変化しつつ、あちこちに歪みが生じ、プレイヤーが抜け落ち、いきなり空白地帯が発生し、そこを他のプレイヤーが補完しながら、なんとかかんとか整合性を保ちつつ、縮小していく。

空白地帯って、つまりニーズのこと。情報収集に気を配り、常に索敵しておけば、そういった空白地帯を見つけやすい。

起業とは、だれにでもおすすめできることではないが、日本の将来を悲観してあきらめるのはもったいないことだ。サラリーマンをしながらでも「もし自分が経営者ならどんな商売ができるか」と常に考えるクセをつけると、縮小市場にもチャンスがあふれていることに気づくはずだ。

おしまい。